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4.252024
愛犬の老化サインを理解しよう!約7~8歳から始まる老化プロセスについて【鎌倉・藤沢】
皆さんが大切にする可愛いペットたちは、家族としての位置を堅固に確立していますね。そのおかげで、高品質な食事やお菓子、そしてペットのケア用品が豊富に揃うようになり、私たちとペットたちが共に生活する環境がより快適になりました。それに加えて、ペットの健康に配慮する飼い主さんたちの意識が高まり、また獣医学の技術が進歩したことで、愛犬や愛猫の寿命が長くなったというのは、とても喜ばしいことです。
しかしその一方で、ペットたちが年を重ねること、つまり老化することは避けられません。私たち人間とは違い、ペットたちの老化は早く、特に犬の場合は約7~8歳から始まると言われています。だからこそ、大切な家族であるペットと健康に、そして長く一緒に暮らすためには、その老化のサインを早期に見つけ出し、適切なケアや生活環境を提供することが何より重要となります。
そこで今回は、愛犬の老化サインについて詳しくご紹介したいと思います。
犬の老化、いつから始まる?
我々が愛するペットの寿命は、適切な生活環境が整えられることにより、段階的に延びてきています。一般社団法人ペットフード協会が行った全国の犬と猫の飼育状況に関する調査によれば、2020年における犬の平均寿命は、超小型犬では15.19歳、小型犬では13.97歳、中型から大型の犬では13.6歳となっています。全体の犬種を通じてみると、平均寿命は14.48歳となります。
これは人間の寿命と比較するとかなり短いように感じますが、14歳の犬の年齢を人間の年齢に換算すると、小型から中型の犬では約72歳、大型犬では約100歳以上と言われています(ただし、これには諸説あります)。
さて、そこで疑問に思うかもしれません。犬の老化は具体的に何歳から始まるのでしょうか?
個々の犬による差はありますが、一般的には、犬の老化は7歳から8歳頃から始まると言われています。犬の7歳は、人間の年齢に換算すると、小型から中型の犬では約44歳、大型犬では約54歳に相当します。
7歳というと、まだ若いと感じるかもしれません。しかし、人間の年齢に換算してみると、それはシニア世代の始まりであることが理解できます。
犬の老化サインについて
愛犬の年齢が重ねられるにつれて、私たち自身が経験するように、体力が衰え、食事の好みが変わり、近くのものが見にくくなるなど、様々な変化が見られるかもしれません。これらは人間だけでなく犬も同様に老化という自然なプロセスを経験している証拠です。今回は、そんな愛犬の老化現象について、そのサインをいくつか紹介します。
1つ目は視力の低下です。年齢を重ねることで、水晶体が硬化し視力が衰えることがあります。その影響で、前方がはっきり見えずに壁にぶつかったり、階段を怖がるようになるかもしれません。また、高齢犬には白内障や緑内障といった病気が現れる可能性もあります。なので、「最近、おやつに気づかない」「以前は問題なかったものを恐れるようになった」などの変化が見られたら、愛犬の目に対して注意を払う必要があるかもしれません。
2つ目は嗅覚の低下です。人間と同じく、犬も老化により五感が鈍ってきます。特に嗅覚が鈍化すると、以前好きだった食べ物の匂いを感じにくくなり、食事を摂らなくなることがあるそうです。そのような場合は、フードにお湯をかけるか加熱することで風味を強くし、食事を摂る励みを与えられるかもしれません。
3つ目は老齢性難聴です。高齢になると音が聞こえにくくなり、特に高音が聞き取りにくくなることがあります。そのため、突然声を掛けたり大きな音を出したりすると、犬が驚いてしまうことがあります。なので、飼い主さんが犬の視界に入る位置から接触することを心掛けましょう。
4つ目は白髪の増加や被毛の薄くなりです。人間と同じように、犬も年齢を重ねると白髪が増え、特に口の周りの毛にその変化が現れやすいです。また、毛が薄くなったり、毛のツヤが失われることもあります。これらは早期に気づきやすい老化のサインとなり得ます。
5つ目は体格の変化です。消化吸収機能や代謝機能が衰えるため、同じ食事内容でも体重が増えたり、逆に減ってしまうことがあります。シニア犬用のフードが多く出ている今、愛犬の年齢に合わせて適切なフードを選ぶことが大事です。
6つ目は口臭の強化や歯のぐらつきです。高齢になると免疫力が落ち、口の中の環境をコントロールできずに口臭が強くなったり、歯周病になりやすくなることがあります。これらの問題を防ぐために、日常的にデンタルケアを行うことが重要です。
7つ目は活動量の減少や睡眠時間の増加です。筋肉量が減少することで長い散歩を嫌がったり、あまり遊ばなくなることがあります。また、日中の睡眠時間が増えることもあります。
最後に、老化に伴う尿失禁です。膀胱や肛門の筋肉が衰えると、トイレに間に合わないことや粗相が増えることがあります。特にメス犬では、寝ている間や横になった時に尿をもらすことが多いとされています。そのような場合は、寝床にトイレシートを敷いたり、オムツを着けてあげたりすると良いでしょう。
シニア犬のためのやさしい家作り
人間と同じように、犬も年齢を重ねると以前に比べて体力が衰え、かつては容易にできたことが徐々に困難になります。そのような状況にあるシニア犬との共存を円滑に進めるためには、飼い主としてシニア犬の老化サインを適切に把握し、愛犬にとって安全で生活しやすい環境を整備することが必要となります。
1つ目のポイントは、滑りにくい床材を選ぶことです。年齢を重ねた犬は筋力の低下により、フローリングなどの滑りやすい床面で踏み固めることが難しくなります。これは、犬の足や腰への過度な負担となります。また、変形性関節症などの疾患は、通常の生活で関節に過大な負荷がかかることで発症します。そのため、愛犬が若いうちから滑りにくい床材を使用することが重要です。フローリングの家庭では、短い毛足のカーペットやマットを敷くなどの工夫が求められます。ただし、毛足の長いものや繊維がループ状になっているカーペットは犬の爪が引っかかりやすく、転倒の原因となりますので避けましょう。
2つ目のポイントは、部屋の模様替えを避けることです。老化により視力が衰えた犬は、家具の配置が大きく変更されたり、部屋の模様替えが行われると、日常の動きが影響を受け、壁や物にぶつかる可能性が高まります。したがって、老化の兆候が見られ始めたら、大規模な模様替えは避けることが推奨されます。また、夜間は早めに照明をつけるなどの配慮も大切です。
3つ目のポイントは、段差を取り除くことです。筋力の減退により、段差が犬にとって重大な負担となります。また、これまで楽に登れていた場所が登れなくなると、犬は自信を失い、落ち込んでしまうこともあります。そのため、愛犬がよく行くお気に入りの場所には、踏み台やスロープを設置し、移動の補助をしましょう。
4つ目のポイントは、犬にとって快適な温度管理を行うことです。シニア犬は体温調節能力が低下するため、寒さや暑さに敏感になります。そこで、犬にとって適切な温度を保つために室温の調節が必要となります。エアコンや空気清浄器を使用する際には、地面近くにいる犬にとって快適な温度になっているか、また直接風が当たらないようにするなど、配慮が必要です。
シニア犬の体調管理について気をつけること
生命の持つ限界とも言える老化現象は、どの生物にも普遍的に存在します。しかし、それを「避けられない」と諦めてしまうのではなく、シニア犬の体調管理を適切に行い、我が子との時間を「より快適で長く」過ごすことが大切だと考えています。
そこで、日々の生活で実践できるケア方法を以下にご紹介します。
● 食事の管理
犬がシニア期に突入すると、基礎代謝が変動します。その結果、若い頃と同様のフードを与えると太りすぎる可能性があります。また、消化能力や肝臓の機能が低下する犬もいるため、健康状態に応じてシニア犬向けのフードに切り替えることをおすすめします。ただし、急激にフードを変更すると、消化器系に負担をかけることがあります。従って、初めは既存のフードと混ぜながら徐々にシニアフードの比率を高めることを推奨します。
食事への興味が薄れてしまった場合、鼻の機能が落ちて食べ物の香りが感じにくくなっている可能性があります。その際は、フードをお湯でふやかしたり、電子レンジで温めて風味を引き立てると良いでしょう。
また、シニア犬は食事時に頭を下げることが負担となることがあります。そういった時は、食器を台の上に置くなどして、犬がストレスなく食事ができる環境を整えてあげましょう。
● デンタルケア
口腔内のケアを怠ると、歯石が溜まり歯周病のリスクが増大します。強く付着した歯石を取り除くためには、麻酔が必要となることが多いのですが、麻酔はシニア犬に大きな負担を与えます。そのため、歯石が溜まらないように、若いうちから歯磨きや口腔内ケアを行うことが必要です。また、若い頃から歯磨きを習慣化すると、飼い主様自身のケアもスムーズになります。シニア犬の歯は弱くなっているので、歯磨きは優しく行うことを忘れないでください。
● 適度なお散歩
お散歩は犬にとって気分転換だけでなく、脳を刺激し活性化させる機会でもあります。また、筋肉は使わなければ衰えてしまいます。心身の健康を維持するために、無理なくお散歩を楽しませてあげましょう。足腰が弱って歩くのが困難な場合、抱っこやキャリーカートを活用するのも一つの方法です。
● ブラッシングや爪切りなどのボディケア
ブラッシングは皮膚の汚れを落とし、血行を促進するマッサージ効果もあります。さらに、全身を触ることで痛みを感じている部位や腫瘍などの異常がないかチェックすることも可能です。日々のブラッシングを心掛けましょう。
また、高齢になると活動量が減少しがちですが、その分、爪が伸びやすくなります。長い爪はカーペットに引っ掛かる原因になったり、フローリングで滑る危険性がありますので、定期的に爪切りを行いましょう。
● 予防接種
シニア犬は身体の各機能が衰える傾向にあり、それは免疫力にも例外ではありません。だからこそ、予防接種はきちんと行っていく必要があります。
最後に
今日、私たちが取り上げたテーマは愛犬の老化の兆候と、シニア犬との生活環境の整備についてでした。人間と犬とでは、年を重ねる速度が大きく異なるため、気が付けば愛犬がすでに高齢期に突入している、ということも少なくありません。我々が今回挙げたように、犬もまた年齢を重ねることで身体機能が衰えていく生き物であり、その老化の兆候を見逃さず、適切に対応することが愛犬の健康を維持するためには非常に大切なこととなります。
さらに、犬がシニア期になると、老化現象だけではなく、さまざまな病気に罹患するリスクも高まります。飼い主としては日々愛犬の様子を見ていても、自分だけでは気づきにくい変化も存在します。そのため、愛犬が7歳前後になる頃からは、動物病院での定期的な健康診断の頻度を増やすなどのケアを心掛けることを強く推奨いたします。これにより、愛犬の健康状態をきちんと把握し、適切なケアを行うことが可能となります。